日本CMO協会 8年の歩み
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 日本CMO協会設立8周年、おめでとうございます。 2010年11月に本協会の活動がスタートしましたが、実は、その前に本協会の前身としての「CMO勉強会」の活動が2年半ほどありました。私がこの勉強会に初参加したのが2007年3月でしたので、もうかれこれ11年にも及ぶロングランの活動になっています。活動主旨が、「日本の優れた医薬品製造の技術を伝承し、グローバルビジネスに繋げよう」、そのために「具体論を中心に本音ベースで議論しよう」というものでしたので、当時、CMOビジネス専門会社である武州製薬の社長であった私にとっては、まさに時宜を得た活動でした。とはいうものの、最初はどのように議論を進めるかについては、難しいものがありました。CMOビジネスは、顧客からの大切な情報をベースとして成り立っており、本音ベースの議論といってもそうした秘密情報は出せないからです。そこで提案したのは、匿名での議論とすることでした。製品名、顧客名は伏せて、課題のみに焦点をあてて議論することです。このことを守ることにより、様々な議論が進められるようになり、「委受託契約書の雛形」、「CMO保険」ができあがったのは記憶にも新しいところです。 初代会長の西村氏からバトンタッチを受けて私が2代目会長になったのは2012年5月、2期4年を努め、その間に賛助会員も多く入会いただくようになり、その活動もさらに活発になってきました。日本の製薬会社が自社製品を製造するために設立した工場の多くが、今ではCMO会社になり、様々な会社の製品を受託製造するようになりました。多種多様な医薬品の製造を継続することで、技術ノウハウが蓄積され、さらなる進化を生み出します。新薬メーカーは新薬創出や海外進出に、ジェネリックメーカーは規模拡大と得意分野へのリソース集約を図る中、CMO会社はこれらの活動を下支えし、製薬産業そのものの成長を支える役目を担います。益々、その需要が拡大する様相を呈している中、我々日本CMO協会は、互いに切磋琢磨しながらさらにその業容を拡大していきますので、引き続きご支援賜りますようお願い申し上げます。CMO勉強会から日本CMO協会へ 2006年、製剤研究や薬物動態を主とする開発研究に一貫して従事してきた三共(現第一三共)を退社後、入社したシミック(現シミックホールディングス)はCMOビジネスをスタートしたばかり、正に、黎明期でした。中村CEOのお誘いを受けた時、欧州CDMOにおける新規製剤開発や、半導体産業における垂直分業の発展に倣うCMOへの熱い思いの語らいには圧倒されたことを今でも覚えています。一方、当時、武州製薬を傘下にしていた塩野義製薬の前田副社長も製薬産業におけるコアとしての製造業務を日本において維持、発展させるべきとの持論を展開されていらっしゃいました。お二方は同郷の誼みもあり、先ずは両社の関係者がCMOの在り方について相語り合う会が企画され、2007年、初めての会が京都のさるレストランで行われました。その後、有志会社も6社となり、この企画を「CMO勉強会」と称して8回の開催を重ね、様々な情報交換が行われました。ここで、CMOビジネスの発展のためには、受託製造関係会社が広く集う正式な業界団体の設立が必要との判断に至り、勉強会を「協会設立準備委員会」と改称し(共同委員長:笠井氏、西村)、協会の基本構想や関連団体との調整等を経て、2010年11月、「日本CMO協会(JCMOA)」が立ち上げられた次第です。 設立当初の会員企業数は18社でしたが、現在では、正会員・賛助会員合わせて30社を超える規模になり、業界における重要性は増しているものと思われます。ますますのご発展を祈念しております。フロイント産業株式会社 技術顧問西村 憲治日本CMO協会8周年を迎えて富士製薬工業株式会社 取締役副社長 生産本部長 兼 OLIC(Thailand) Limited Managing Director笠井 隆行4

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