日本CMO協会 8年の歩み
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広報委員会▶委員会発足並びに活動の目的について 広報委員会は、CMO業界情報の収集・分析、業界活性化のための広報・宣伝活動等を行うことを目的に、協会設立と同時に発足しました。 発足時は委員6名(担当理事2名)のこじんまりとした委員会でしたが、現在では委員も10名(担当理事3名)まで増え、協会の認知度向上のための広報・宣伝活動に取り組んでいます。▶主な活動と成果・実績について①協会ウェブサイトの企画・運用 ●初代ウェブサイト公開(2011年5月) ●2次開発実施(2013年1月) ・・・新コンテンツ「剤形別各社対応表」の実装 ●英語版充実化リリース(2016年1月) ●ウェブサイト全面リニュアル(2016年11月)②広報・宣伝活動(事務局と協働) ●インターフェックス・ジャパンでの配布用チラシ作成(毎年) ●ファームテクジャパン、薬事日報等の業界紙への広告出稿③調査活動 ●CMO業界規模把握のための会員アンケート調査 (2013年5月~2014年2月) ●製薬企業(クライアント)アンケート調査(2015年9月)④その他の活動 ●協会自主ガイドライン(綱領)の策定(2011年6月) ●協会ロゴマーク制定(2012年2月) ・・・協会内公募により決定 ●協会5周年記念講演会・パーティ開催支援(2015年11月)▶今後取り組みたい事項 日本CMO協会の認知度向上や会員数増加のために、協会内外に向けて以下の施策を実施したいと考えております。 ●ウェブサイトの充実 ●業界情報分析機能の充実(市場規模の集計等) ●PBOA(Pharma & Biopharma Outsourcing Association)との交流促進等シミックホールディングス株式会社 執行役員人財部副部長綛谷 正晴 一方、CMOの将来的なビジョンとして、剤形や製剤別に得意分野へのビジネスモデルに進化し、CMO内においても専業化が進むのではないかとの見方を示す。「CMOも選択と集中により、得意な製剤に特化すれば、企業の投資コストが下がり、生き残りも図れる。CMOにとっては安定供給の面で有意に働き、製薬会社にとってもなくてはならない存在になる」と述べ、協会内で競い合うだけでなく、協力体制をより強固なものに築き上げ、委員会活動を通じたレベルアップ、加盟社間や他団体との交流によってシナジーを生むようなスキームの模索が必要だと訴える。 薬価制度も含めた製薬業界全体の環境が変化していく中においても、「厳しい時代だからこそ、安定供給が一番大事になってくる。われわれCMOが医薬品生産の中核として、非常に期待されていると感じている」と高い使命感と共に前向きな考えを強調した。 CMOは、製薬会社から医薬品の製造を受託する機関だ。同協会加盟社で、錠剤やカプセル剤、注射剤など、ほぼ全ての剤形の受託をカバーしており、医薬品の安定供給の一翼を担っているが、安藤氏は、「製薬業界全体が過渡期にある中で、5〜6年前から様々な要因でCMO業界の成長が鈍化しつつある」と説明する。 CMOは、2005年の薬事法改正を機に、全面委託が可能になったことから主に長期収載品の製造を受託することで、「市場全体として二桁成長を達成してきた」と語る。新薬メーカーは、新薬を自社で製造し、特許が切れた製品から外部に製造を委託することで、新たな工場を増やさずに製品ライフサイクルに対応しており、その受け皿をCMOが担ってきた。 だが、製薬業界全体の流れとして、低分子医薬品中心の製品ポートフォリオ製造アウトソーシング関連記事 3〜5ページ 日本CMO協会(JCMOA)の安藤修一会長(クオリテックファーマ副社長)は、業界全体の成長が「従来の二桁成長期から成熟期を迎えており、昨今成長率は鈍化している」との認識を示しながらも、「医薬品の効率的な生産体制においては、引き続きCMOが支持され存在価値が高まっている。安定供給、品質、コストの面で『CMOに製造を任せていれば安心だ』と言われるよう、さらに認知度を上げていきたい」と意気込みを語る。また、「協会加盟社の企業戦略も各々ある」とした上で、「今後は剤形や製剤別に得意分野へのビジネスモデルに進化し、『この製剤にはこのCMO』とCMO内においても専業化が進むと考えている。安定供給の面で有意に働くよう、CMOの存在価値を高めていく」と協会の将来のビジョンについても言及した。安定供給で存在感を発揮日本CMO協会 安藤会長に聞くCMO専業化でコスト低減もするケースもあったが、「去年ぐらいから、GEメーカーも自前での生産体制を十分に整えてきた」との認識を示す。新薬メーカーによって上市されたオーソライズド・ジェネリック(AG)が、GE薬のシェアを奪っている現状もあり、「GE薬メーカーも厳しいので、外部委託は慎重だ」と悲観的だ。 剤形別で見ると、錠剤やカプセル剤が横ばい、注射剤や外用剤が伸長しているとの見方だ。「注射剤の製造施設は、維持費がかかるので、外部委託は堅調だ」と話す。そのほか、「付加価値の高い剤形や治験薬製造の受託が増えているが、現時点でバイオ医薬品の製造に参入している会員会社はいない」としている。 「それでもCMOが医薬品の安定供給を支えることに今後も変わりはない。かつては製薬会社の補助的な立ち位置だったが、医薬品製造のプロとして堂々と立ち向かわなければならないという意識を協会内でも持つようにしている」と強調する。得意分野への選択と集中〝なくてはならない存在に〞ア80%を目標として掲げる後発品使用促進策で、GE薬各社の自前での製造だけでは安定供給に追いつかずにCMOに委託注射剤、外用剤が伸長全体の成長率は鈍化傾向から、より高度な製造技術を有するバイオ医薬品の位置づけが強くなり、さらにGE薬の台頭により、低分子医薬品の製造受託を中心に成長してきたCMOにとっては逆風な状況となっている。また、製薬大手を中心に、長期収載品の事業そのものを承継という形で切り離す動きも多く見られ、「CMOは新たな顧客を開拓していかなければ生き残れない」と警鐘を鳴らす。 GE薬メーカーからの製造受託も安泰ではないという。医薬品市場全体で後発医薬品の数量シェ 同協会は10年に発足し、現在、正会員24社、賛助会員10社の合計34社。活動に賛同する会員会社が増えている。「技術・人材育成委員会」「品質委員会」「広報委員会」の3委員会を主体に活動し、CMOの発展に注力する。 技術・人材育成委員会では、賛助会員の粉粒体装置メーカーのパウレックやフロイント産業、打錠機メーカーの菊水製作所の協力のもとで、30〜40人規模で自主研修を行っており、実習イベントやセミナーを開催している。また、建設分野では、高薬理活性製剤棟についての講演や、印刷メーカーを訪問し、包装の印刷工程を見学するなど、内容は多岐にわたっている。 品質委員会は、医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキーム(PIC/S)の勉強会として設立されたPIC/S対応委員会を前身とする。「昨年は品質のリスクマネジメントやデータインテグリティについての情報交換会を開催しており、医薬品の流通過程における品質保証の指針『GDP』についても議論を深めていきたい」と話す。 広報委員会では昨年、協会のホームページをリニューアルした。また現在は、今年で8年目となったCMO協会の歩みを記した「協会史」制作を担当する。同協会は勉強会から発展したものであり、設立前後に携わった関係者へ取材を行い、既会員、新規加入会社へ設立当時の志の伝承に役立てるため、1冊にまとめる予定だ。医薬品の研究・製造技術展「インターフェックスジャパン」では、協会リーフレットを来場者へ配布、PR活動を行っている。 行政当局との良好な関係を構築しているのも同協会の特徴。厚生労働省や経済産業省の関係者とも意見交換会の頻度も増している。年に1回、5月の最終火曜日に開催する定期総会には、CMOの立場から見た医薬品産業政策の動向について講演する。 今後も引き続き、同協会としてCMOの強みを訴求していく。「CMOは、いろいろな製薬会社との取引があるため、査察(オーディット)を頻繁に受け、ときには指摘を受ける場合もある。その都度、対応措置を講じノウハウが蓄積されている。この情報保有とその対応力は誇れる」と説明した。様々な製薬企業との取引蓄積したノウハウを活用( 3 )第11993号2018(平成30)年 3 月14日 水曜日(第三種郵便物認可)藥 事 日 報協会ウェブサイト配布用チラシ薬事日報2018年3月14日掲載記事・広告10
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